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zoom RSS 童話教室・才能発見

<<   作成日時 : 2011/01/29 07:54   >>

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 地元の小学校の課外授業<囲碁教室>に参加したのをきっかけに、今度は地元在住の童話作家H先生と<童話を書こう教室>を開いた。
 新しい企画が受けたのか、4年生に限定したのに、最初はお母さん方も含めて31名も集まった。

 しかし、今回はそれだけ数が集まるか心配だった。

「何人書いてきますかね?」 「書いて来い、なんて言うと来なくなるんだよな。失敗だったな・・・」
 小学校へ向かいながら、ぼくとH先生は参加者がどーんと減るのではと心配していた。
「先生、今日は3名です」 スマイルクラブの会長のKさんが会うなり、申し訳なさそうに言った。
「3名?」「それにしても激減だな・・・前回は30名も集まったのに」
 予想していたとはいえ、大ショックだ。

 先ず1名赤いランドセルを背負った女の子が現れた。
 あとの予定している2名がなかなか現れないのでKさんが探しに行った。
「忘れてふたりとも帰ってしまったんですって」

 あ〜あ、広い教室にたったひとり。
 囲碁教室の先生が前回の評判を聞きつけて見学に見えた。大人4人に生徒はひとり。
「ぼくたちの桃太郎、わたしたちのかぐや姫といったものでもいいんだよって、アイデアも出したんだけど、いきなり童話を書いて来いって宿題は負担になったんだろうな・・・」
「書いてないから参加できないって思ったんですかね・・・」

「時間が来たので、先生、4時半までお願いします。Aさん、先生をひとりじめですよ」
 KさんがたったひとりのAちゃんを励ます。
 さあ、H先生、この1時間、ひとりを相手にどう乗り切るか。
「これ、ぼくが書いた童話なんだ。読んでみる?」 先生は自分が書いた<はだかの王様>と<アラジンの魔法のランプ>の2冊をAちゃんに渡した。 

 その間、ぼくは先生にこの間テレビで見た大竹しのぶの課外授業の話をする。
「とりあえず何でもいいから頭に浮かんだことを書いてごらんと言って、子どもたちを校庭などに散らばして、ひとりにして書かすんです。<静かな所で草花を見るときれいに見える>なんて書いている。中には<好きな男の子がいるんだけどパパにいうとショックを受けるから言わない>って書いた女の子がいた。それを家に持ち帰ってお母さんに見せたら、お母さんは<あなたを授かった時からこんな日が来ることをパパは覚悟しているから大丈夫よ>って言うんです」
「すてきなお母さんですね」
 そんな話をしているうちにAちゃんは2冊の童話を読み終わった。

 さあ、先生の授業開始だ。
 先生はAちゃんと対面して問いかけた。
「どちらの方が面白かった?」
 Aちゃんは<はだかの王様>のほうと答えている。
 先生はその内容について説明している。そして、話題を変えた。
「あなたは何歳?」
「10歳です}
「一人っ子かな?」
「いいえ、妹がいます」
「妹さんとは仲がいいの?」Aちゃんははずかしそうに首をふる。
「そうか、お父さんとお母さん、それに妹の4人家族だ」
「お母さんは優しい?」 Aちゃんはうなずく。
「Aちゃんが期待していることを、何にも言わないのにお母さんからしてもらったことある?」
 うなずく。
「どんなことかな?」
「誕生日にほしいと思っていたものをもらった」
「そうか、お母さんはあなたの心の中が分かっていたんだ。そんなお母さんのことを書いてみたら?」
「・・・」Aちゃんは目を宙に浮かしている。
「何でもいいんだよ。心に浮かんだことがあったら書いてみようか?」

  先生は彼女に原稿用紙と鉛筆、消しゴムを渡す。
「鉛筆はこういうふうに持って、すらすらと書くといいよ。疲れないから。4Bみたいな濃い鉛筆がいいんだよね」
 Aちゃんは原稿用紙をたぐり寄せた。書く気になったようだ。
「ここに題目を書いて、ここに名前を書く・・・」

 彼女はちょっと考えてからすらすらと書き出した。集中して書いている。
 コツコツと鉛筆がリズミカルな音を立てる。
「すらすら書いているね。安定したリズムだ。すごいね・・・」
「えっ? もう1枚書けたの? 見てもいいかな?」
「すごいね・・・」 読み終わった1枚目を先生がぼくに渡してくれた。

 タイトルを見てぼくはびっくりした。 お母さんのことではないんだ。


 <トマトでできているてんとう虫>
 あつい夏の日、私はてんとう虫に会いました。でもなんだかへんなんです。
 考えてみました。 あつくてせなかが少しぐちゃっとなっているんでしょうか?
 今度はてんとう虫にせなかがどうしてぐちゃっとなっているのか、聞いてみました。
「どうしてせなかがぐちゃっとなっているの?」
「ぼくはね、ふつうのてんとう虫とはちがうんだよ。ぼくは人と話せるし、せなかも実はトマトで、できているんだよ」
「えっ〜 トマトでできているのぉ」
 と私はおどろきました。トマトでできているてんとう虫なんてみたことが、ありません。


 囲碁の先生も、スマイルクラブの会長さんも目を丸くしてびっくりだ。
 ぼくは早く続きを見たくなった。
 こうして彼女はわきめもふらず書き続け、もう4枚目に入ろうとしている。
 使いきれるか心配していた1時間が終わろうとしている。
「ここで中断させるのは惜しいですね」
 Kさんは携帯を持って教室を出て行った。遅くまで子どもを学校に引き止めておくわけにはいかないのだ。
「お母さんにお迎えにきていただくことでお許しいただきました」

「終わりました」 Aちゃんは5枚目を完成させて誇らしげな笑顔だ。
 全部読ませてもらった。 結末も決まっている。
 穿ったみかたをすれば、人間の文明に警鐘を鳴らしているともとれる?
 ここで公表することは差し控えるが・・・

「これって、考えてきたことなの?」 Kさんが聞いた。
「いいえ」 彼女は首を横にふった。
「頭に浮かぶなりに書いたんだ・・・」 彼女はうなずいた。
「おうちでも書いているの?」 いろいろいっぱい書いているそうだ。

 お迎えに来たお母さんも言っていた。
「家でも書き出すと止まらないんです・・・」
「おたくのお子さんはたいへんな才能の持ち主です。特に集中力がすばらしい。何をやっても成功するでしょう」
 先生が太鼓判を押した。

 たったひとりの参加者だったが、みんな満ち足りた気分になった。
「ありがとうございました」
 みんないっせいに言った。

「こういう発想っておとなにはできないよね。こういう子どもっているんだよね」
 先生がつぶやきました。
 囲碁教室でもぼくは成長いちじるしい5年生の女の子に、この間負かされました。
 うれしそうな顔が輝いていました。
 こんな子どもたちを発掘できる喜びをぼくも感じて幸せでした。 
 

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
マロさん初めまして、ヘボ碁ですが囲碁が大好きです。子供たちの才能は無限ですよね、それを引き出してあげることができればと私も考えることが多いです。公民館で月2回やってる小学生の囲碁教室を時々手伝ってますが子供たちの生き生きした目が大好きです。ただ不況の中全国的に市町村は財政難のところが多く、子供たちに関係する予算も削られています。残念なことですが前向きな気持ちで進まないとね。マロさんの活動は参考になります、またお邪魔したらよろしくお願いします。
かっちょ
2011/02/02 01:51
 かっちょさん、コメントありがとうございます。

 うちの町、三鷹市はシニアの力を子どもたちに生かそうという活動が盛んなことで有名なんです。
 時の首相や地方からも参観者がたくさん来ました。
 会社での体験談や竹とんぼづくりなど活動は多彩です。子どもたちの新しい活動の芽を育めればと思っています。
昭和のマロ
2011/02/02 06:49

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