生きることの厳しさ

 大震災の影響で小学校の囲碁教室、童話教室、麻雀大会などが中止となり、このところ空いた日は歯医者通いをしている。
 放置してあった歯欠けのところが痛み出したのがきっかけだ。
 新しい歯医者は若くて精悍な先生で、治療台も最新鋭でテレビつきだった。
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 3台の治療台の患者を順繰りに処置するのでしばしば放置されることもあるが、ビデオを見ていれば退屈しない。
 最初は<アバター>をやっていた。
 昨日は<イエローストーンの冬>だった。零下40度の極寒に生きるどうぶつたちの物語だ。
 あのでかいバイソンも吹雪の中、雪の中に埋もれたわずかな植物を求めて歩き回る。これ以上耐えられないというというところで待ち望んでいた春が訪れるという繰り返しだ。
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 1匹の狐が雪原を食べ物を捜し求めてさまよい歩いている。雪の下に潜んでいるネズミを探しているのだ。
 かすかな音が聞こえる。鋭い耳をそばだてて雪の下をうかがう。
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 いた! 背を丸めて跳躍すると鼻先から雪の中へ突っ込む。空振りだ。何回も繰り返す。どうしても見つけなければならない。でないと間違いなく死が待っている。
 何かくわえた。魚だ。 誇らしげに口にくわえている。
 遠くから3匹のかわうそがこの光景をうらめしそうに眺めている。彼らが保存用に隠した魚なのだ。
 何と生きることの厳しさよ。

 この大震災で何千羽という鶏がやせ細って死んだというニュースがあった。
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 おそらくこの大震災によって、人間に囲われた柵の中でなす術もなく死んでいく牛や豚たちもいるのだろう。
 生きるための無情に胸塞がる思いだ。

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